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column_1752024.09.04

スターリンク(Starlink)とは?仕組みや通信速度、メリット・デメリットを解説

著者:情シスマン
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スターリンク(Starlink)とは、アメリカの民間企業である SpaceX(スペースX)が開発した、衛星を利用した高速インターネットサービスです。

気になってはいるものの、実際にはどういったサービスなのか、従来の衛星通信との違いはなんなのか、理解できていない方も多いかと思います。

今回はそんな方に向けて、スターリンクの仕組みや通信速度、メリット・デメリットを解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

スターリンクとは

スターリンク(Starlink)とは、アメリカの民間企業である SpaceX(スペースX)が開発した、衛星を利用したインターネットサービスです。従来の衛星通信をはるかに超える数の衛星が低軌道を周回しており、インターネット回線が物理的に引けない山間部や離島といった場所での活用も期待されています。

そんなスターリンクについて、以下の点から見ていきましょう。

  • スターリンクの仕組み
  • スターリンクの通信速度
  • スターリンクが使えるエリア
  • スターリンクと既存のネット回線や衛星回線の違い

スターリンクの仕組み

スターリンクは、高度550kmという低軌道に打ち上げられた数千機の通信衛星と、地上に設置される各ユーザーのアンテナとが通信を行い、インターネットに接続するという仕組みです。

低軌道かつ多数の衛星が広範囲の低遅延・高速インターネット通信を可能にしています。

スターリンクの通信速度

気になるスターリンクの通信速度を見てみましょう。スターリンク公式サイトでは3つの指標が公開されています。

  • ダウンロード速度(下り)
  • アップロード速度(上り)
  • レイテンシー(遅延時間)

以下のように、エリアごとにマップ形式で見ることができます。

この速度については『実際のユーザーデータの20〜80パーセンタイルを表します。現地時間のピーク時の、「標準」プランの指標を示しています。』と記載されています。

つまり、理論値ではなく実測値をもとにしたデータということです。一般的にインターネット回線サービスは「最大10Gbps!」「高速1G通信!」といった具合に、理論値でプロモーションされることが多いですが、スターリンクは実測値を公開しているため、ある程度実利用に近い速度と言えるでしょう。

※理論上出力可能な通信速度

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実測値・理論値に関する解説はこちら
インターネット回線の速度目安|利用状況・回線の違い&実測値の測定方法
関連記事を見る

ただし、“ピーク時”という記載もあるように、決して保証される速度ではないことは注意しましょう。

日本国内の各地域の速度は以下の通りです。(2024年9月時点)

ダウンロード速度(下り)

アップロード速度(上り)

レイテンシー(遅延時間)

札幌

158 ~ 254 Mbps

18 ~ 37 Mbps

29 ~ 41 ms

東京

158 ~ 254 Mbps

18 ~ 37 Mbps

29 ~ 41 ms

名古屋

158 ~ 254 Mbps

18 ~ 37 Mbps

29 ~ 41 ms

大阪

158 ~ 254 Mbps

18 ~ 37 Mbps

29 ~ 41 ms

福岡

158 ~ 254 Mbps

18 ~ 37 Mbps

29 ~ 41 ms

引用:Starlink

ご覧の通り、(公式サイト上の数値では)地域差が見られないのが特徴的です。

アップロード速度はやや心もとないですが、ダウンロード速度やレイテンシーは普段使いには申し分ない数値と言えるでしょう。下手な光回線よりは実用的かもしれません。

スターリンクが使えるエリア

スターリンクが使えるエリアは、地上であれば公式サイトでマップが公開されています。以下のようにサービス提供状況で色分けされており、日本はほぼ全域が利用可能エリアとなっています。

世界的に見ると、ロシア・中国・イランを除くほぼ全域まで展開される予定のようです。

※濃い青は提供予定エリア

地図上では分かりづらいですが、山間部や離島、海上でも利用できるというのも、スターリンクの大きな特徴です。

スターリンクと固定回線・従来の衛星通信との違い

固定回線との違い

従来の固定回線の場合、地下・海底・電柱などを介して、利用場所まで物理的にケーブルを敷設する必要があります。そのため、物理的に回線の届かない海上や敷設するコストの大きい離島、山間部などは、通信技術が一回り遅れてしまったり、最悪インターネットを利用できなかったりといった問題点がありました。

一方スターリンクは数千機の衛星を利用するため、一定水準の通信技術・品質を広範囲で提供することができます。

従来の衛星通信との違い

従来の衛星通信は高度36,000kmを周回する衛星を利用していたため、その遠さから起きる通信速度の低下や遅延が問題点とされてきました。

一方スターリンクの衛星は高度550kmを周回しており、従来に比べて地表と非常に近いため、低遅延・高速な通信が可能となります。衛星が近ければ近いほどカバーエリアは限定されますが、スターリンクは衛星の数でそれを補っています。

スターリンクの4つのメリット

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スターリンクが多くの人や企業から注目を集めているのには理由があります。ここでは大きく4つのメリットをご紹介します。

  • 通信環境が整っていない場所でもインターネットを利用できる
  • 災害の影響を受けにくい
  • 外出先でも利用できる
  • 天候に左右されない

通信環境が整っていない場所でもインターネットを利用できる

従来では、通信環境が整備されていない山間部や海上、離島など、地域によってはインターネット利用が制限されていました。

しかし、スターリンクは大量の衛星を利用して通信するため、固定回線や携帯キャリアの電波が届かなかった地域でのインターネット利用も可能にします。

災害の影響を受けにくい

一般的に、固定回線は災害で電線や地盤が崩壊してしまうと復旧に時間がかかってしまいます。

一方で、スターリンクはアンテナと電力さえ確保できればあらゆる場所でインターネット通信を享受できるため、災害時の有用性が高いと言えます。実際に、2024年の能登半島地震ではKDDIとソフトバンクにより約700台のアンテナが無償提供され、通信インフラに大きな被害を受けた地域でもインターネット利用が可能となった、という実績もあります。

外出先でも利用できる

携帯キャリアの通信が届かないような場所に行く場合、スターリンクがあると便利でしょう。場所を選ばず低遅延・高速で複数人利用にも耐え得るインターネット通信が利用できるという点は、さまざまな可能性を広げます。

キャンプやクルーズ、僻地での工事やオフサイト研修など、レジャーからビジネスまで活用シーンはさまざまです。

電源の確保は忘れないようにしましょう。

天候に左右されない

悪天候に強い点もスターリンクのメリットです。

スターリンクは雪や雹、みぞれ、大雨、極度の暑さなど、様々な気温や気象条件に対応できるよう設計・テストされています。一般的な衛星通信同様、雨天時は降雨減衰の影響を受けて通信品質が落ちますが、それでも全くインターネットが利用できないという事態は起きにくくなっているようです。

スターリンクの2つのデメリット

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スターリンクには魅力的なメリットが多い一方で、デメリットもあります。特に以下の2点には要注意です。

  • 上空に障害物のない場所に設置しなければならない
  • 他のインターネット回線サービスと比べて割高

上空に障害物のない場所に設置しなければならない

スターリンクの最大のデメリットは、上空に障害物のない場所にアンテナを設置する必要があることです。衛星とアンテナとの間に障害物がある場合、通信が劣化してしまうためです。

おのずと設置場所は周りに建物や木々がない平地、あるいは高所に限られてきますが、そうなると自身では設置できない可能性もあるので注意が必要です。

他のインターネット回線サービスと比べて割高

スターリンクは今のところ従来のインターネット回線サービスと比べて料金が割高な傾向にあります。

1Gbps以上の光回線を利用できないような地域ではコストパフォーマンスが高いかもしれませんが、1Gbpsや10Gpbsの光回線が当たり前に利用できる地域ではまだまだ割高と感じるかもしれません。

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スターリンクの法人価格についてはこちら
スターリンク(Starlink)の法人価格は?ビジネスで利用するメリットや利用料金を紹介
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スターリンクを導入する方法

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スターリンクは個人向けとビジネス向けのメニューがあります。どちらもスターリンク公式サイトから購入・契約できますが、ビジネス向けは正規代理店からも契約できます。現在日本国内の正規代理店は以下の通りです。

公式サイトから購入した場合は自身で設置する必要があります。ただし、固定利用の場合は電気工事士の資格が必要になる場合もありますので、業者に依頼するようにしましょう。

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スターリンクの設置方法を解説した記事はこちら
スターリンク(Starlink)の取り付けはどこに頼む?アンテナの設置方法や注意点、工事業者の選び方も紹介
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まとめ

スターリンクは従来のインターネット回線サービスと異なり、ケーブル敷設などの物理的な制限を受けないため、アンテナと電源さえあればあらゆる場所でインターネットに接続できます。

ただし、設置場所や料金には注意が必要です。

事前に仕組みやメリット・デメリットを理解した上で導入を検討してみてください。

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